「生乳=牛乳」は間違い? 正しく知る“生乳”と“特別牛乳”の違い

牛乳好きのみなさん、「生乳(せいにゅう)」と「牛乳」の違いをご存じですか?
スーパーで「生乳100%使用」と書かれていると、「これって生乳そのものなの?」と思う方も多いでしょう。
しかし実は、生乳と牛乳はまったくの別物なのです。
この記事では、「生乳とは何か?」「牛乳との違いは?」「生乳は飲めるのか?」「特別牛乳とは何か?」といった疑問をわかりやすく解説します。
生乳とは? 搾りたてそのままの“原料乳”
生乳とは、乳牛から搾ったままの、加熱も加工もしていない乳のこと。
言い換えると、牛乳の「原材料」そのものです。
この状態の生乳は、殺菌処理がされておらず、細菌の影響を受けやすいため、そのままでの販売は法律で禁止されています。
牛乳とは? 生乳を殺菌処理して安全にしたもの

私たちが日常的に飲んでいる「牛乳」は、生乳を加熱殺菌して製品化されたものです。
牛乳は、食品衛生法に基づいて安全に飲めるように加工されており、殺菌処理されたものだけが市販されています。
主な殺菌方法
殺菌方法 | 温度と時間 | 特徴 |
---|---|---|
高温短時間殺菌(HTST) | 72〜75℃で15秒 | 一般的な牛乳。風味と保存性のバランスが良い |
超高温瞬間殺菌(UHT) | 130〜150℃で2秒 | 常温保存が可能。学校給食などにも使用される |
低温長時間殺菌(LTLT) | 63〜65℃で30分 | 生乳に近い風味。こだわり派に人気 |

「生乳100%使用」とは? 誤解しやすい表示に注意
「生乳100%使用」と記載された牛乳を見かけることがあります。
これは、原材料として“生乳のみ”を使っているという意味であり、未殺菌の生乳が入っているわけではありません。
つまり、市販されている牛乳はすべて、加熱処理された“加工済みの生乳”=牛乳ということになります。
特別牛乳とは? 唯一“殺菌不要”で販売が許される牛乳
ここで注目すべきなのが、**「特別牛乳」**という存在です。
これは「生乳」でも「一般の牛乳」でもない、日本で唯一、殺菌処理をせずに販売が認められている牛乳です。
特別牛乳の特徴
- 「特別牛乳さく取処理業」の許可を受けた施設のみで生産可能
- 搾乳から瓶詰めまでを施設内で完結。衛生管理体制が極めて厳格
- 生乳の品質が非常に高く、細菌数や体細胞数が少ない
- 通常の牛乳より風味や栄養価が高く、希少価値がある
特別牛乳と他の乳製品の違い
種類 | 内容 | 殺菌処理 | 購入可否 |
---|---|---|---|
生乳 | 搾りたてで一切処理していない乳 | ×(なし) | ×(販売不可) |
牛乳 | 生乳を加熱殺菌した一般的な製品 | ○(あり) | ○(市販されている) |
特別牛乳 | 高品質な生乳を無殺菌で販売できる特例 | ×(条件付きで不要) | △(一部店舗・通販で限定) |
特別牛乳が飲める(買える)日本の施設
特別牛乳は、全国でもわずかな許可施設でのみ生産されています。
以下は、特別牛乳を実際に味わえる、または購入できる主な施設です。
【北海道】想いやりファーム(中札内村)
- 日本で唯一、無殺菌の生乳(=特別牛乳)を販売する牧場
- 衛生管理が徹底され、国から特別許可を取得
- オンラインでも購入可能
- 公式サイト
【神奈川県】雪印こどもの国牧場(横浜市)
- 雪印メグミルクが運営。特別牛乳さく取処理業の許可取得施設
- イベントや施設内での限定提供あり
- 公式ページ
【京都府】クローバー牧場(木津川市)
- 牛の管理から処理まで一貫生産体制
- 地元を中心に販売されており、安全性と風味が両立
- 公式サイト
【福岡県】白木牧場(嘉麻市)
- 九州唯一の特別牛乳生産牧場(ジャージー牛使用)
- 直売所や一部店舗で販売
- 公式サイト
注意点
特別牛乳は非常に希少で、一般のスーパーでは取り扱いがほぼありません。
現地での購入や、数量限定のオンライン販売が基本となるため、訪問前には各牧場の公式サイトを確認しましょう。
まとめ:生乳と牛乳はまったくの別物。でも、どちらも魅力的
- 生乳は「素材」、牛乳は「加工された製品」
- 生乳はそのままでは販売できないが、特別牛乳として飲めるケースがある
- 特別牛乳は、生乳の風味をそのまま味わえる“究極の牛乳”ともいえる
牛乳をもっと楽しみたい方は、ぜひ「生乳」「牛乳」「特別牛乳」の違いに目を向けてみてください。
次にスーパーで牛乳を手に取るとき、きっと選び方が変わるはずです。